日本人の繊細な感性によって生み出される、美しく格調高いレザーバッグ

2006年にフィレンツェ在住の大平智生が立ち上げたバッグブランド「Cisei（シセイ）」。デザイナーである大平智生は、東京で工業デザインを学んだ後、1995年に渡伊。革鞄作りの世界に身を置き、11年間、職人およびフリーのモデリストとして活躍し、数々の有名ブランドの仕事を手掛けてきました。独立する直前まではチェレリーニに在籍。名匠と謳われた故シルバノ・チェレリーニに認められた数少ない職人のひとりです。

シセイのコンセプトは、「シンプルでいて常に上品に、ベーシックでいながら常に新鮮に」。クラシックをベースにしたシンプルデザインでありながらモダンなサイジング、時代性と趣味のよさを感じさせる素材とのマッチング、今となっては一部のブランドにしか使わないレザー芯のハンドルやレザーライニング、ソリッドにこだわった数々のメタルパーツ、コバの磨き仕上げなど、日本人ならではの繊細さとイタリアで学んだ数々のテクニックとこだわりが融合されています。

ノスタルジックなプールバック風ドローストリングバッグ「1254」

ご紹介するのは、このところ人気が急上昇している「ドローストリングバッグ」です。ドローストリングバッグとは、簡単に言うと間口をドローストリング（紐）で絞るバッグ、つまり“巾着（きんちゃく）”のことです。みなさんご存知のとおり、最近はバッグも財布もミニサイズが流行中。必要最低限の小物をスマートに持ち歩くミニマリストが急増しています。そんな人たちの間でクラッチに代わるバッグとして注目を集めているのがドローストリングバッグなんです。

シセイのドローストリングバッグは「1200」が有名ですが、ここ数年連続して展開していたので、今季はちょっと趣向を変えて“新型”をピックアップしました。新たに登場した「1254」は、巾着ならではの基本的な構造はそのままに、キャンバス×グレインレザーのコンビ素材をセレクトし、デザインのベースを“プールバック”風に変更することにより、どこか懐かしさを感じさせる、個性的で愛嬌のある表情を持つバッグになっています。さらに、1200のサイズをひとまわり大きくし、直径20センチの円形の“底マチ”を設けることで、収納力が向上しています。こじんまりとした見た目ながら、500mlのペットボトル×5本が余裕で入り、形も崩れません。

上質なキャンバス×グレインレザーのコンビ素材と日本古来の巾着デザインを掛け合わせ、ある程度年齢を重ねた日本人なら誰しもノスタルジーを感じるであろうプールバックのエッセンスをプラスした、いかにもシセイらしい和洋折衷なバッグだと思います。まさに日本とイタリアの“いいとこ取り”ですね。ブランド設立以来、日本人の繊細な感性と職人魂をイタリアの伝統的なバッグ作りと融合させてきたシセイだからこそ作り得る逸品です。ドローストリングバッグは数多くありますが、こんなにも大人に相応しい品は他にはないと思います。

見かけによらず容量があって、財布や携帯電話、鍵、パスケースなど、ポケットに収まりきらない身の回りの小物をすっきり収納できるので休日のちょっとした外出に大活躍します。大きすぎず小さすぎない絶妙なサイズ感ゆえ、着こなしの邪魔にならず、カジュアルスタイルだけでなくジャケパンスタイルにもすんなり溶け込みます。間口を縛り、ドローストリングを肩に掛けてショルダーバックとして使用してもいいですし、持ち手を持ってハンドバックとして使ってもOKです。使い方に決まりはありません。従来のバッグにはない“新鮮さ”があるのでアクセント効果絶大ですよ。ユニセックスなので、ご夫婦・カップルで兼用も可能です。プレゼントにも喜ばれると思います。

少量生産だからこそできる「徹底した品質へのこだわり」

シセイでは一定水準以上のクオリティを維持するために無暗に生産を増やすことはしません。顔料仕上げではなく磨きで終わるコバの仕上げや考え抜かれた芯地の使い方、素材の選定など、古典的な手法を今もなお守り続けています。このため、納期が遅れるのが玉に瑕ですが（笑）。気づかないような細部にまでこだわっているからこそ、世界一うるさいと言われる日本の有名セレクトショップで定番展開されているのだと思います。贔屓目なしに見ても、ひとつ上の価格帯であるシャンボールセリエやチェレリーニの品に見劣りしないクオリティであると断言できます。

端正ながらも温もりを感じるキャンバス×グレインレザー「TN／LD」

使用されている生地は、マテリアル記号「TN」、フランスJean Sabine社製の上質なキャンバスです。1955年、ノルマンディーの中心部にて創業したテキスタイルカンパニーである同社は、誰もが知っている有名メゾンや世界の一流ブランドにも生地を供給しています。同社が手掛けたキャンバスはビッシリと目が詰まっており、ハリコシがあってバッグの形がキレイに出ることが特徴です。さらに、ドローストリングと底面、サイドにはマテリアル記号「LD」、環境問題に配慮したアルデヒド鞣しのグレインレザーを使用。ブランドの“顔”とも言えるLDは、しっとりやわらかく吸い付くような手触りで、モッチリとした弾力があることが特徴です。キャンバスとグレインレザーを組み合わせることにより、端正なスタイルでありながらも、どこか温もりを感じさせる仕上がりとなっています。耐久性にも優れており、キズや汚れが目立ちにくいこともポイントです。